この街でまず特徴的なのが、国際色豊かな雰囲気です。明治政府が諸外国の大使館開設地として、もともと武家屋敷が並んでいたこの地に白羽の矢を立てたことが始まり。現在でも、広尾近辺には代官山と同じく各国の大使館が点在しています。そのため外国人の居住者が多く、街を歩いていると様々な国の言葉が耳に飛び込んでくるほど。海外の高級食材を扱う有名なショップも存在し、たくさんの人々で賑わっています。
外苑西通りを挟んで麻布側は、大使館や大邸宅が立ち並ぶお屋敷街。緑が多く、森閑とした落ち着いた住宅街が広がっています。少し歩けば、緑豊かな有栖川記念公園があり、休日には森林浴をする家族連れの姿が。商店や飲食店は少ないですが、歩いているだけで楽しいエリアです。
一方で外苑西通りから渋谷側には、意外なほど情緒あふれる風景が見られます。広尾駅を中心に発展している広尾商店街には、昔ながらの惣菜店や喫茶店、居酒屋の他、銭湯まで残っています。2月と8月以外の毎月第3日曜日には朝市が開かれ、つきたてのお餅が販売されたりマグロの解体を見せてくれたりと、イメージを裏切る光景も、住む人にとっては楽しい日常だったりします。
ただの「セレブな住宅地」という先入観だけでは片付けられない、何とも親しみやすい下町風情の残る街、それが広尾です。